main() blog

プログラムやゲーム、旅、愛する家族について綴っていきます。

デザイン思考とは? 革新的なアイデアを生み出す思考法

タケゾーです。

先日、『デザイン思考』について学ぶ機会があったのでその時の資料をまとめました。

 

はじめに 

近い将来、現在の仕事の半分は人工知能(AI)やロボットが担うことになると言われている。

ではAIやロボットが担えない仕事は何か?

それは今までになかったモノやコトを創り出す力、発想力を必要とされる仕事に他ならない。

今までにない革新的なアイデア・プロダクトを造り、社会に対して発想力、実践力の力が必要になってくる。

そこで求められるのが『デザイン思考』という考え方。

 

AppleGoogleといった大企業において、新製品・新サービスを開発するときにデザイン思考を用いて行っているケースがある。

 

 

 

 

 

デザイン思考とは?

デザイン思考って何?

で、『デザイン思考』って何?って話だが、Wikipediaでは次のように書かれている。

 

デザイン思考 - Wikipedia

 

デザイン思考は実践的かつ創造的な問題解決もしくは解決の創造についての形式的方法であり、将来に得られる結果をより良くすることを目的としている。この点においてソリューション・ベースドもしくは解決志向の思考方法の一つと言うことができ、特定の問題を解決することではなく、目標(より良い将来の状況)を起点に捉えている。 

 

もう少し簡単な言葉で言うと

 

「デザイン思考とは、問題を見つけて、解決するためのアイデアを生み出すときの思考プロセスを体系化し、優れたアイデアを生み出すことができる思考法」

 

ということだ。 

 

デザインという言葉が入っているのでどうしてもグラフィックデザインやプロダクトデザイン、建築デザインなどといった見た目や形、綺麗な絵のことを思い浮かべてしまうがデザインという言葉の意味を紐解くと大きく2つの意味に分かれる。

 

1つは「計画する、策定する」、もう1つは「形をつくる」という意味。

 

つまり、何か実現したいことや問題を解決したいことがあった場合、「計画」を考え、そして「形」にして計画を実行し、実現したいことや問題を解決するという文脈も含まれる。

『デザイン』という言葉には何がしかの問題を発見し、解決するという意味にも解釈できる。 

 

デザイン思考で大切なことは2つ。

1つはユーザー視点で考えること。

モノを考える時もコトを考えるときも、使い手となるヒト、参加するヒトがいる。

デザイン思考では機能的な訴求だけでなく、ユーザーがどんな気持ちで使うのか、堂行く悩み、問題を抱えているのか、ということを考える必要がある。

 

もう1つはとにかくやってみること。

答えがない問題に対して、頭ばっかりで考えていても答えは出てこない。

実際に手を動かしてアイデアを形にして試すことが重要。

10時間議論していても結論が出ないことに対して1分で結論を出すことができるかもしれない。

 

では、デザイン思考のプロセスはどのようになっているのか。

大きく分けて4つのステップに分かれる。

 

  1. 理解と共感
  2. 問題の定義
  3. イデア発想
  4. プロトタイプ&テスト 

 

デザイン思考のプロセス

①理解と共感

特定のシーン(場面)において、何が起こっているのか、ということを確かめるため、インタビューやフィールドワーク等を通じてユーザーを理解する。

 

②問題の定義

①で理解したことを踏まえ、解くべき本当の問題を考える。

目に見える問題は問題ではないことが多く、その原因やユーザーの本音を想像することで、ユーザーが本当に実現したいこと(インサイト)を抽出する。

 

③アイデア発想

 ②で考えられたインサイトを叶える、解決するためのアイデアを発想する。

思いつきで発想するのではなく、いくつかの発想法を活用しながら今までにないアイデアを発想する。

 

④プロトタイプ&テスト

考えたアイデアを形にして、色々な人からフィードバック(感想)をもらう。

そして得られたフィードバックを元に①、②、③を再び考え直し、アイデアの質を高めていく。

 

デザイン思考の実例

具体的にデザイン思考によって生まれた例をみてみよう。

「酔っぱらいが駅のホームから転落する事故を防ぐにはどうすればよいか?」

ホームドアを設置するというアイデアではなく、それ以外のアイデアで考えてみる。

この問題を考えるときに「酔っぱらいはどのようにしてホームから転落しているか?」ということを考えてみる。

多くの人はホームの端を千鳥足で歩いているときに転落しているイメージを思い浮かべるが、実際に駅のカメラを分析(①理解と共感)したところ、多くの酔っぱらいはベンチに座っている状態から突然立ち上がってそのまままっすぐ進みホームから転落しているケースということが分かった。

解くべき問題として突然立ち上がって前に進んでも転落しないためにどうすればよいか?(②問題の定義)

実際に考えたアイデアはベンチを90度回転させて設置しなおした。(③アイデアの発想)

実証実験を行ったところ転落事故率が大幅に下がった。(④プロトタイプ&テスト)

このように、デザイン思考はしっかりと現場観察を通じて理解と共感を得て、本当に解くべき問題を見つけ、そしてアイデアを発想して試してみる、というプロセスによって今までになかった製品やサービスを生み出していく。

 

理解と共感

シーンを見つける

問題が潜んでいるシーンをたくさん挙げてみる

そして着目するシーンを見つけよう

デザイン思考の最初のステップは着目したいシーンを見つけること。

まずは多くのシーンを挙げていき、その中から着目したいシーンを一つに絞り込んでみる。

次のステップでそのシーンに関するインタビューやフィールドワークを実施していき、そのシーンにおいて人は何を感じているのか、何を考えているのかという事を理解していく。

 

ユーザーを理解する

着目したシーンについて当事者であるユーザーを理解しよう

 

デザイン思考で大切なポイントの1つがユーザー(着目したシーンに関わる人、着目したシーンを経験している人)を理解すること。

 

  • When(いつ)
  • Where(どこで)
  • Who(誰と)
  • What(何を)
  • Why(どうして)
  • How(どんなふうに)

 

5W1Hの視点から理解していく。

着目したシーンのことやユーザーのことについて、分かっているつもりでも意外と分かっていない場合がある。

そのためにまずはユーザーについて徹底的に理解をしていくことが重要。

ではどうやってユーザーを理解していくのか?

ここでは2つの方法について紹介していく。

1つは観察、もう1つはインタビューだ。

 

シーンを観察する

着目したシーンについて観察してみる

着目したシーンについて、今度は具体的に何が起こっているのか探っていく。

そのためそのシーンについて観察を行い、ユーザーがどんな行動を取っているのか、周りの環境はどうなっているのか、ユーザーの困っていること、やりたくても出来ていないこと等を見つけていく。

 

観察結果を分析する

観察した結果から事実と気づきを整理する

観察した結果を「事実」と「気づき」を意識して分けていくことが重要。

 

ユーザーにインタビューする

着目したシーンについて当事者であるユーザーに聞いてみる

 具体的に何が起こっているのかを探っていく。

そのシーンについてユーザーにインタビューを行い、ユーザーが困っていること、やりたくても出来ないこと等を見つけるためのヒントを得ていく。

 

1.事前にインタビュー項目を考えておく
2.ユーザーの性格や普段の行動について聞く
3.どうして?(Why)を聞く

 

 

ユーザーの行動と気持ちを整理する

インタビューや行動観察を行った後は、そのシーンにおけるユーザーの行動・気持ちを整理する。

人の悩みはそのシーンだけにあるわけではない。その前後にどういったことがあるのか、その時の気持ちはどうなっているのか、ということを考えることでユーザーの悩みや願望が見えてくる。

 

1.本当は何がしたいか(どうして?)を考える
2.本音(でも・実は)を考える
3.想像で考える

 

 

問題の定義

インサイトを探る

観察結果やインタビュー結果からユーザーが本当に望んでいることは何かを考える

 ユーザーが本当に望んでいること=インサイトと言う。

人間は言っていることとやっていることが違う「矛盾」した状態がよく起こる。

「やりたいこと」と「やっていること」が違う矛盾や「当たり前と思っている」けど「本当はなんとかしたい」と思っている矛盾などたくさんの矛盾がある。

この矛盾こそが人間の本音でありニーズ、すなわちインサイトとなる。

 

イデア発想

発想法からアイデアを考える

意図的にアイデアを思いつくための方法

 

 

四則演算によるアイデア発想

足し算

すでにある機能をパワーアップさせていく考え方。

 

引き算

 アイデアから機能や要素を減らしていく考え方。

 

掛け算

イデアにまったく違う要素を組み合わせる考え方。

 

割り算

イデアの前提や当たり前をひっくり返す考え方。

 

イデアを絞る

たくさん出てきたアイデアを絞り込んでいくフェーズ。

 

出てきたアイデアを2軸

で振り分ける。

 

イデアをまとめる

絞り込んだアイデアを1つにまとめる。

イデアをまとめるときのポイントはいかの通り。

 

1.アイデアに名前をつける
2.コンセプトを1行で表す
3.絵で表現する

 

プロトタイプを造る

イデアがまとまったらアイデアを形(プロトタイプ)にしていく。

プロトタイプといってもいきなり製品のようなものを作る必要はない。

クイックにプロトタイプを制作し、ユーザーテストからフィードバックを得て、アイデアを進化させていく。

 

1.ダーティプロトタイプ

イデアの形や大きさなどをざっくりと表現するためのプロトタイプ。

ダーティ(Dirty:荒れた、手入れされていない)なプロトタイプなのでダンボールや紙など周りにあるものを使って作ってみる。

ダーティプロトタイプを制作することで、大きさの感覚、アイデアの使用シーンを具体的に思い描くことが出来る。

 

2.ペーパープロトタイプ

アプリの画面等を紙で表現し、画面のイメージや操作性について確認するためのプロトタイプ。

いきなりプログラミングをするのではなく、まずは紙で表現することで無駄な時間をかけずにアプリやサービスの使い勝手を確認することが出来る。

 

3.ファンクショナルプロトタイプ

考えたアイデアの最小限の機能を詰め込んだプロトタイプ。

ファンクショナル(Functionnal:機能的)なプロトタイプであるため、見た目はとりあえず置いておいて、そのアイデアの中で最も大切な機能だけを実現させる。

 

4.デザインプロトタイプ

イデアの概観や触り心地等について確かめるためのプロトタイプ。

発泡スチロール(ポリスチレンフォーム)等を削り、アイデアの形を再選する。

 

ストーリーを造る

イデアをまとめた後は、アイデアをストーリー化させていく。

イデアは考えて終わりではない。

形にして、ユーザーに試し、そしてフィードバックをもらうことでアイデアを進化させていくが大切。

ユーザーに対してアイデアだけを伝えるのでなく、アイデアがあったときユーザーはどういった経験をするのかということを伝えないと本当のフィードバックはもらえない。

 

ユーザーテスト

聞くべき内容は大きく分けて2つ。

 

①あなたが考えた問題はユーザーに存在しているか

②アイデアやプロトタイプに対してお金を出してでも利用したい/欲しいと感じられるかどうか

 

そもそも考えた問題がユーザーに存在していなければどれだけ面白いアイデアを考えても意味がない。

そのユーザーが普段どのような生活・行動をしているのか、アイデアに関連するシチュエーションでどのようなことを思っているのか、ということを聞くことで考えた問題がユーザーに存在しているかどうかを確かめる。

また考えたアイデアにお金を出してでも欲しいかどうかを聞くことで、アイデアが有効かどうかを計ることが可能。

 

作業の流れ

①聞く内容を項目立てて整理する

ヒアリングを行う

ヒアリングメモを作成する

 

ヒアリングのときに陥りがちな罠

罠①友達としての「いいね!」

罠②評論家としての意見

罠③本音ではなく建前の意見

 

プレゼンテーション

考えたアイデアをプレゼンテーションしなければ価値はゼロ。

なぜなら、アイデアの価値を人に伝えなければ評価されないからだ。

 

イデアを壊す

考えたアイデアを破壊する

 一度ここで今まで考えていたアイデアから離れてみる。

何故そのようなことをするのかというと、アイデアを考えていくと知らず知らずのうちに思い込んでいる固定概念や思い込みがはいってしまい、アイデアとして「飛ばない」状態になっていることがある。

ここであえてアイデアを破壊し、今まで考えたこともないような視点からアイデアを再構築する。

 

①アイデアの前提の洗い出し

②前提の選択

③前提の対極を検討

④前提と対極を組み合わせて発想

 

何度も繰り返してみる

イデアやプロトタイプについてユーザーから声を集めて終わりではない。

大事なことはここから考えたアイデアやプロトタイプを破壊し、新しいアイデアやプロトタイプを制作していくことだ。

デザイン思考は理解と共感、問題の定義、アイデア発想、プロタイプ&テストを何度も繰り返し行うことでアイデアやプロトタイプを進化させていく。

 

 

最後に

自分は普段ゲームを作っていますが、ゲームのアイデアの発想であったり、日々の業務で起こっている問題解決や業務改善にも応用ができる思考法だと思います。

ゲーム開発においてもプロトタイプやイテレーション開発というのは重要です。

ただ限られた予算や期間のなかではどうしても繰り返し作り直すことが困難です。

もちろん紙の上でも考えもしますが、やはり実際に作ってみないと面白さやフィードバックは得られないのでこのサイクルをいかに速めるかが良いプロダクトを生み出せるかどうか重要になってくると思います。

先日のCEDECで「ゼルダの伝説」のセッションがありましたが、まさにこの思考法で作られているのではないかと思います。

 

 

www.main-function.com

 

モノを考える、作るときの思考法として何かの参考になればと思います。